ご無沙汰いたしております。今年もよろしくお願い申し上げます。
先日、お年寄りのMさんが亡くなられました。
Mさんは独身の障がい者でした。
暮らしの場である障がい者のグループホームでは、みんなと一緒に外食することができました。Mさんは自分で食べることはできないのですが、皆さんと同じお膳をスタッフがひたすらキッチンばさみで細かくして、しっかり召し上がられました。
そのお話を伺って、この方は皆さんに大切にされていると思いました。
障がい者のグループホームでは、日中に別のデイサービスを使うことが
できるので、お風呂目的にデイサービスも使われていました。
Mさんの在宅医療を開始するときに、親戚、ケアマネジャーさんと相談員、そして関係するスタッフの皆さんを交えて話し合いを開きました。最期はどうされますかという問いに、県外からこられた親戚の方は、ここで最期まで過ごしたいと希望されました。
グループホームのスタッフも、私たちも、それがご本人にとって一番いいだろうと考え、方向性が決まりました。
そのため、何かあったとき、まず訪問看護ステーションに連絡をすれば必ず医師に連絡がつき、看取りの往診ができること。救急車は呼ばないことを決まり事として共有しました。
やがてその日はやってきました。
デイサービス中に呼吸が浅くなりグループホームへ連絡がありました。
急いで(まだ息のあるうちに)グループホームのスタッフが迎えに行き、グループホームのいつもの部屋にお連れしました。
その時はまだ脈はありました。急いで訪問看護へ連絡が入り、私が往診にかけつけました。Mさんは、静かになっておられました。まだあたたかな御身体を診察させていただきました。
意思があっても表すことが難しいかたもおられます。
本人の意思がはっきりわからない場合でも、その人らしく過ごすという視点に立って、今回は皆さんが関わって下さいました。
訪問看護はじめ関わって下さった皆さんに感謝いたします。
今後、地域で暮らす障がいをもつ方々が、地域で看取りまで希望された場合、自宅以外の選択肢としてグループホームがあります。
しかし、グループホームの開設をめぐって、地域住民から反対運動がおこっているところがあります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140126/k10014772681000.html
障がいをもつ方はどの家庭にも生まれる可能性があります。
誰でも家族になることがあり得るということです。
みんなでこの問題に関心を持ち、考えることが必要だと思います。
2014年01月27日
障がい者グループホームでの看取り
posted by 管理人 at 19:41
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| 障がい
私は、重症心身障がい児をもつ母です。子供は小学部5年です。現在体調はよく、医療ケアもなく、いわゆる「動く重症児」です。
先生のブログは時々拝見させていただいて、親としてとても励まされています。
今回の記事を読んでいて、とても暖かいぬくもりを感じ、子供の将来はこんな選択肢もあるのだと思いました。こんなグループホームや在宅医療との連携が地域でできるにはどうしたらいいのか、自分にできることは何かを考え、親として活動していきたいなとあらためて思いました。
焼津市重症心身障がい児親の会 いちいち(11)の会
ブログ:yaizu1111.blog.fc2.com/
ご意見ありがとうございました。
さまざまなご苦労があるかと思いますが、情報発信や取り組みもされていて素晴らしいなと思いました。
当事者のご家族は障がい児者の地域での看取りについてどのように考えておられるのか、なかなか正面から聞くことができないときもあります。でも、柳澤さんは、こんな選択肢もあると言ってくださいました。折にふれて今関わらせていただいている方々お伝えし、一緒に考えていければと思います。
私たちこの世に生を受けているものは、必ず人生の最期があります。亡くなるまでどのように過ごすのか。ご家族がその最期に寄り添うことが難しいとき、どこで、だれが寄り添うのか、最期はどうするのか、そこまで考えていかないと、いつまでたっても「この子を残しては死ねない」と言う声は、減らないと思います。これは私たち自身の問題でもあるのですから。
栃木はこの冬一番の寒い朝でした。どうかお元気でお過ごしください。