平本歩さんのお宅を訪問!

兵庫県尼崎市のあるハイツの1階で、バクバクっ子(人工呼吸器をつけた子どもだった大人の)平本歩さんの一人暮らしが始まっています。

今回、ある研究班部会の会議のため兵庫県伊丹市のしぇあーどさんに
伺ったときに、平本歩さんのお宅への訪問が実現しました。
歩さんは、筋力が衰えていく病気(ミトコンドリアミオパチー)のため
人工呼吸器が装着され、24時間医療的なケアが必要な20歳台女性です。
歩さんは、度重なる交渉の結果、複数のヘルパーを24時間利用できる
時間数(1440時間)を行政から得ています。ヘルパーさんは、痰の吸引や
経管栄養などすべての医療的ケア、パソコンのセッティング、入浴介助、
外出支援など必要なことすべてを行います。その日も、ヘルパーさんが
2人常駐していましたが、今日は私たちが訪問することから、お母さんもみえていました。
平本歩さんとツーショット
歩さんは、寝たきりで話すことはできませんが、指先がわずかに動きます。
その指先の動きでスイッチを押して、パソコンを操ります。
バクバクの会(人工呼吸器をつけた子の親の会)の編集長として
容赦ない?原稿依頼のメールが時々届きます。
今日は、案内してくださったしぇあーどの国本さんが、「これからの目標は?」と
質問しましたところ、その答えが、写真の画面にすらすらとでてきました。
「とりあえずとんちんかんでたのしくくらすこと。
あとはいけんをすらすらいえるようになること。」
だそうです。歩さん、エライです!

ちなみに、とんちん館というのは、歩さんの家の別名です。
歩さんの右手指にセンサーが取り付けられわずかな動きを感知してスイッチが押される。ザルは手の動きが布団で邪魔されないためのものだろう。
歩行や寝返りができないですが、ヘルパーさんとほぼ毎日外出します。
歩さんの目の前にあるのは、亡きお父さんが作ってくださった特製のラック。
ここにパソコンの画面やTVが搭載されています。
いらしてくださったお母さんから、さまざまな物品の説明をしていただきました。
非常用のバッテリーも充電した状態で複数置かれていて、停電時にも安心です。歩さん用とヘルパーさん用の避難用リュックも用意されています。さすがです。
歩さんの横にあるのは人工呼吸器ですが、これは自費で購入したもの。
もう1台の呼吸器は車椅子の下に搭載されていて、これは医療保険で
レンタルされているもの。
通常、人工呼吸器をつけた子どもは1台の人工呼吸器のレンタルを受けて、
それで、自宅のベッドサイド、出かけるときは車椅子に搭載、と両方に使っています。しかし、お母さんの話では、機械はいつ止まるかもしれないので、
やはり2台は必要とのこと。しかも、毎日外出するとなると、すべての装備
を車椅子に乗せかえするだけで大変です。確かに、載せ替えが大変だと気軽に
外出する意欲が薄れてしまうかも知れません。
外出は社会参加。歩さんとお父さんは、公共交通機関を使って外出を
繰り返しました。その結果、今では尼崎市のすべての公共バスは、
ノーステップバスになっている。ノーステップバスに乗って助かるのは
歩さんだけではありません。高齢者、車椅子の人、バギーを押すママさん
たちなど、助かっている人は少なくないはずです。
栃木ではまだ、バクバクっ子たちはほとんど車での移動が主です。
いつの日か、栃木でも、どこでも、人工呼吸器をつけた子どもがヘルパー
さんと連れ立って気軽にバスや電車で外出する日がくるといいと思いました。
今回の訪問でお世話になりました、歩さん、お母さん、ヘルパーの皆さん、
そして国本さんはじめ、研究部会の皆さんありがとうございました。
なお、写真掲載は、歩さんご本人の了解を得ています。
孫が人工呼吸器をつけ始めたころで歩さんは北海道へ修学旅行でスキーに来たと記憶しています。
お父さんがお元気なころで看護士さんも随行していました。
それが自立したのですね。すばらしい!
孫も夢見ることにします。
書き込みありがとうございます。お返事が遅くなり失礼いたしました。
お孫様が呼吸器をつけておられるんですね。歩さんはとてもお元気でした。
緑が美しい季節です。どうかお元気でお過ごしください。