2010年10月16日

市民の応援を受けるサービスのかたち

2010年6月に北九州市にある到津(いとうづ)の森公園(岩野俊郎園長)を訪れた。
岩野氏と、旭川市の旭山動物園の前園長小菅氏とは盟友である
(到津の森のライオンが亡くなったとき、いち早く旭山動物園から一頭のオスのライオンが贈られたという)。猫

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これが「キング」

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旭山から贈られた証


到津の森公園は、市民が支える動物園である。
一度廃園となったがすぐに存続のため市民が立ち上がり復活した稀有な歴史を持つ。
園内の動物を見ることができる場所に、必ず「どうぶつサポーター」という表示とサポーターの企業・団体や個人の名前が書いた札が掲示されている。

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ゾウを支える人と団体の掲示

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他にも公園基金や動物購入のための基金なども寄付を受け付けている


ライオン、ゾウ、ワオキツネザルなど、私たちが、この動物の餌代を支援していますよ、という意味なのである。
個人だったり団体だったり、実に多くのサポーターが動物園を支えているのである。

***

同じように、応援を受ける仕組みを、9月に訪れた島田療育センターでも見た。目

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青空を背景に建つ島田療育センター(東京都多摩市)

ここには、くつろぎという情報資料室があり、さまざまな障害や疾患についての書籍や、それぞれの自治体で使える制度などがジャンルごとに整理されている。部屋の本棚の上のよく目立つところには、寄付者のプレートが掲げてあった。

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島田療育センターの情報資料室「くつろぎ」

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さまざまな資料を購入する資金を支援する団体を掲示


今から9年前になるが、アメリカ東海岸(ワシントンとニューヨーク周辺)のホスピスを見に行ったことがある。
あるホスピスには、部屋ごとにプレートがついていた。この部屋は○○さんの寄付で出来ました、というもの。

また、別のホスピスのロビーの壁には木の枝が描かれてあった。
枝には葉がついていて、それぞれの葉は寄付者の名前の書いたプレートなのである。葉は枝の途中までしかついておらず、その表示がまた寄付をそそる仕掛けになっている。プレゼント


わが国ではまだ、それほど寄付の文化が育っていない。しかし、社会的に必要なことを行う団体が、単体では運営することが難しいとき、額の多少にかかわらず、その団体を市民や企業が支えていく仕組みというものがあってもいいと思う。
市民にとっては応援する気持ちを表すものであり、企業にとってはその団体の理念に賛同して寄付をすることが社会貢献にもなる。

このような「社会的な起業」が可能となれば、わが国ももっとあたたかな社会になるのではないだろうか。
posted by 管理人 at 08:15 | Comment(4) | 日記
この記事へのコメント
寄附文化の醸成、賛成です。
任天堂では、寄付ゲームが出たようです。http://www.youtube.com/watch?v=nCiT0iXtmpc
この、任天堂のゲームでは、300,000ベルも寄付して驚かれたり、いい気分になったり。
簡単に好きなところに、寄付できるのがいいですね。
バーチャルで寄付しているのですから、私たちももっと気軽に、好きなところへ
寄附できるシステムがあるといいですねえ・・・

自死した親の子どもの心の回復を支援している「レインボーハウス」では、
金のプレートに寄付した企業や団体・個人のお名前が小さく、小さく書かれていて、
その小ささがとてもおしゃれだと思いました。
寄付は、された側は当然うれしいのですが、した方もうれしいんですよね。
時間も、お金も、食べ物も、独り占めしないで
分け合えるといいなあと思います。



Posted by Pumpkin at 2010年10月18日 18:01
 Pumpkinさん、コメントありがとうございました。寄付文化の醸成には時間と労力がかかると思いますが、勝ち組負け組みではなく、皆でシェアしあえる社会になって欲しいですね。
 急に秋めいてきました。日光は紅葉でにぎわっているようです。なかなか行けませんが心の眼で過去の紅葉を思い出しています。
Posted by 高橋昭彦 at 2010年10月20日 01:14
初めておじゃまします
私は東京で重症心身障害児の訪問看護をしております看護師です。
この仕事を通して、ご家族の大変さを感じ、昨年4月から「みまもりサークルメロディ」重症心身障害児日中一時預かりをスタートしました。
府中市の通所施設の一画をお借りし、活動は土、日の9時ぐらいから18時くらいで、訪問看護師仲間がボランティアでやっています
登録制で現在30名登録され、今年度は4月から9月までで延べ32名、207時間の利用がありました。少しずつ利用者が増えるに従って、ボラ看護師の手配が大変になってきています
1時間800円をいただいていますが、昨年は○十万円の赤字でした
以前から「うりずん」の活動はいろいろなところで拝見しています
私たちも本来呼吸器装着されている児のお預かりをしたいという思いは強いのですが、医師の協力が得られないと私たちだけでは踏み切れない状況です。
NICUから呼吸器をつけてどんどん退院してきますが、短期入所の利用もできず、お母様方の負担がとても大きくなっています
今日の産経新聞を見て、宇都宮市は理解がありうらやましいなあと思い、思わず書き込みをしてしまいました。
私たちもこの活動を行政に認められるよう頑張っていこうと改めて思いました



Posted by 麻生千恵美 at 2010年10月21日 14:42
麻生千恵美さま

 はじめまして。コメントありがとうございました。
 昨年度からみまもりサークルメロディの活動として日中の預かりをはじめられたのですね。すばらしいご活動です。きっとたくさん仲間がおられるのでしょう。でも、ボランティアでされるのには、大変な勇気とエネルギーがいると思います。ご尽力に感謝いたします。
 当院も最初の1年は研究事業としてはじめ、ほぼボランティアで行いました。いろんなかたのご支援があり、今の事業化につながりました。宇都宮市が制度を作ってくださり、隣の日光市ではひとりのお子さんのために同じ制度をつくってくださいました。世の中捨てたものじゃないと思いました。ありがたいことです。
 うりずんも、事業として3年目です。実際にやってみないとわからなかったことはたくさんあります。日中の預かりだけではなかなか経営的に厳しいことも事実です。
 レスパイトケアは人工呼吸器など医療的ケアが必要な子どもと家族にとって最も必要で最も足りないものです。ぜひ、ご家族の声を聴いたり、仲間を増やし、現状をまとめて情報発信をしていきましょう。栃木より応援しています。
 府中市でも、どこでも医療的ケアが必要な子ども達が必要なサービスを受けられる社会になるといいですね。
Posted by 高橋昭彦 at 2010年10月24日 22:34
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